あなたはデザインが
欲しいわけではない。
だから、もうデザインは
売らないと決めました。

世の中を生きやすく、
人の気分を良くするデザイン。
この価値を作り出したい。
その想いだけは変わりません。

幼い頃から、絵を描き、作って遊ぶことが好きでした。母の「アンタはちょっと変わっとる」という反応が快感で、最高の褒め言葉でした。

人とはちがう色の服を選ぶ、人とはちがう物を持つ考えを奨励してくれました。子供ながらに、変わり者であることが信条でした。しかし、変わり者であることは、それがいじめに遭う原因にもなっていました。

一方で、アートもデザインも、風変わりならいいのではないです。アートやデザインの本質的な価値。30代後半に、そこをはっきりと教えていただいたのが、もりわじんさん。日本を代表する猫アート作家です。

「夏目漱石の草枕を読んでごらん。そこに答え書いてあるから。今の君には血肉になると思うよ」と教えてくださいました。

それがこの一節です。

とかくに人の世は住みにくい。 (中略)

越す事のならぬ世が住みにくければ、
住みにくい所をどれほどか、寛容て、
束の間の命を、束の間でも
住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職が出来て、
ここに画家という使命が降る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、
人の心を豊かにするが故に尊とい。
住みにくき世から、
住みにくき煩いを引き抜いて、
ありがたい世界をまのあたりに写すのが
詩である、画である。
あるは音楽と彫刻である。
これは現代においてどんなサービスでも同じなのではと思います。 今私たちが一日に浴びる情報量は、平安時代の人々の一生分、江戸時代の人々の一年分、わずか20年前の300倍だそうです。

何もかもが猛スピードで消費され、目まぐるしく不確実な時代に、本当の「大切」や「好き」を選んでもらうための手助けが、より良いデザインであり、より良いブランドコンセプトだと信じています。

世の中を生きやすく、人の気分が良くなるデザイン。この価値を作り出すことなら、私も参加できるからです。

しかし、私にはもう時間がない。
だから、年間5社だけ。

現代においてどんなサービスでももう同じではないでしょうか。

今私たちが一日に浴びる情報量は、平安時代の人々の一生分、江戸時代の人々の一年分、わずか20年前の300倍だそうです。

何もかもが猛スピードで消費され、目まぐるしく不確実な時代に、本当の「大切」や「好き」を選んでもらうための手助けが、より良いデザインであり、より良いブランドコンセプトだと信じています。

世の中を生きやすく、人の気分が良くなるデザイン。この価値を作り出すことなら、私も参加できるからです。 私ももう若者ではありません。いつまでも時間が残されているわけではない。そのブランドが人々の豊かな気持ちを育む裏側には、あなたの狂気的なまでの人生を賭けた思いが張り巡らされています。消費者とのすべての接点に。

それを統治していくことは、そんな生やさしい作業ではありません。 その狂気の船で、社員を、関係者たちを、ブランドがたどり着く聖地まで運んでいかないといけない。

チラシやラベルを変えたところで、何も起きないのです。何も起きないことに人生の時間を費やすのはもうやめにしたいのです。

あなたが欲しいのは、デザインでも、チラシでも、シールでもない。ホームページでもない。

人生を賭けたブランドの流布。 あなたの生きた証。 さらに、次をつなぐ人たちへのメッセージかもしれません。

その狂気的なカオスを言語化し、全体を統治しながら、すべてのコミュニケーションツールが機能を果たすように配置していく。

その作業もまた、狂気の沙汰なのです。

だから、私が心血を注いで、お役に立てるための、能力、体力ともにその限界は、年間5社までだと算段が立ったということです。

加納裕泰

アートディレクター。1971年岐阜県生まれ。2004年、マーケティングに特化したクリエイティブスタジオMAKEOVERSを創業。 ロゴ・パッケージ・ブランディングを核に、地方の中小企業から全国の食品・飲料メーカーまで 幅広くブランド戦略を担当。「強いデザインしか作らない」をモットーに、 トレンドではなく10年後も色あせない独自性を追求している。