新年あけまして
おめでとうございます

加納です。

巳年生まれの人は成功するんだとか。
それならとあやかりまして、
大蛇のように長い年始のご挨拶です。



さて。
こんな小さなデザイン事務所も
21年目を迎えました。
たくさんデザインを作らせていただき
ありがとうございます。

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2002年の暮れ。
あ!これだと思いました。
独学で「マーケティング」を学び始め、
独立を目指しました。

2004年。
お客さんが一人もいないのに、
無鉄砲に独立してしまい(笑)
最初の一年はまったく
食べていくことができませんでした。
(ま、今もさほどですが(^◇^;)

当時、岐阜の田舎では
マーケティングを冠にしている
妙ちきりんなデザイナーなんて
いなかったと思います。

アートディレクターと言っても、
「は?何それ?」
「何してる人?」

今もさほどイメージは
変わっていないようですが。

2007年、地元で仲間と
フリーマガジンを創刊
(以後15年間発行)。

2009年、2011年と本を書き、
セミナー、執筆。

同年から、
師匠と経営塾をはじめ(14年目)

2012年からは
ラジオパーソナリティ(13年目)と、
40代入った頃までは順調でした。

しかし、そこから
私の40代はお先真っ暗。
目を患い、
一生付き合わないといけないことに。
デザイナーでこの病気は致命傷でした。

人間の知覚情報の9割は視覚です。
こういう仕事をしているので、
いらんことを知っており、
余計に落ち込みました。

毎日毎日。
「どうせそのうち見えなくなる」
「こんな目だからしょうがない」
「目が見えてるんだからいいじゃない、あなたは」

口にこそ出しませんが、
ずーっとずーっとその繰り返し。
充実している人や、
順調に行っている人を見ては、
ねたみ、そねみ、ひがみ。
いつまで経っても

前向きになれない。

私はすれ違う人の表情も分かりません。
だから、声をかけられても

誰か分からない。

普通には字も読めません。
なので、書類や情報を処理するのに、
人の何倍も時間がかかります。
周りの出来事を敏感に

察知することもできない。

読書もほとんどしなくなり、
公共交通が乏しい田舎では、
出かけることも少なくなりました。

・・・なんて、

言い訳じみたことばかり。
ほんとに、つまらないです。

ただ、えらいもので10年も経つと、
その生活に慣れてしまいます。

もうそういうもんだと思って

暮らしてます。
それでも、この年齢にしては

見えている方みたいです。

私のこの事情を知っている人からは、


「目が悪くなった分、耳とか鼻とかが
研ぎ澄まされるってことはないの?」

とよく言われますが。

若い頃ならまだしも、
どんどん老化して、

あきらめきったカラダでは
そんな進化なんてないです(笑)。


でも。


たった一つだけ、
進化がありました。

それが
「見えてない人の気持ちがわかる」
ということです。

蛇の道は蛇です。

この仕事をしていて、

視覚困難な人の気持ちが
わかってデザインできるというのは、
かなり稀、相当なプラスだと思います。

もはやこれがわかってからの
自分のデザインを見る目が

まったく違います。

ユニバーサルデザインを
身をもって体現できます。


ロゴだろうが、

パッケージだろうが、
印刷物でも、

モノのデザインでも、

映像でも、
何が大切なのか、

みんな同じなことは
もう分かっています。

思考だけは進化できる。

色使いの考え方も深くなってきたし、
色彩の資格の知識も、実用として
本当の意味で使えるようになりました。
マーケティング理論もより腑に落ちて、
文字の読みやすさ、視認性、注目性、
デザイン心理学のようなものまで、
物事に対する観点が豊かになりました。

広告業界、人が最も反応する写真は
赤ちゃんの顔や、かわいい動物、
女性の顔だというのは常識です。

今なら、

自分が発見したかのように言えます。
それくらい実感できているからです。

加齢による目の病気も実は結構ある。
とはいえ、全体からすれば、
かなりマイノリティーですが、
年もとれば老眼になるんですよ、

みんな(笑)。

ひと足先に行ってます、って感じ。

幸いパソコンは、

画面から5cmくらいまで近づけば、
デザインも文字打ちも苦労しません。
タブレットやスマホも、

文字の大きさが変えれます。
読書もKindleならできる。

アナログ時代ならとっくに廃業です。
ほんとにいい時代です。

というわけで悲観的な思いは、
髪の毛と共にだいぶ薄くなりまして。

やりたいことと、
やれることは変わってきましたが、
多様性とか言われる時代には、
フィットするかもしれないなあと。

頭を柔らかくしておこうと、
最近、ChatGTPと仲良くしています。

車を運転できないので、
ご迷惑をかけたり、
出かけたりの機動力は
決してよくありません。
でも、今はリモートワークがあります。

うちの社是は、
「お客様の成功が私たちの成功です」。

広告やグラフィックデザインは
代弁することが仕事。だからです。

蛇行運転が過ぎましたが、
まだしばらくこの業界で
しぶとくやって参ります。
本年もどうぞよろしくお願いします。

加納 拝

©2025 Hiroyasu Kanou.